防カビ剤使用法の常識・非常識
一般に言われている防カビ剤の使用法は、次のとおりです。
・カビにアルコールを噴霧するか、布で拭き取る。
・カビの生えていたところに防カビ剤を塗る。
・さらに、その表面に防カビ塗料を塗る。
しかしこの方法では、カビ対策としてきわめて不十分です。
そもそも、薬剤をどう使うかという基本を踏まえていないことが問題です。
防カビ剤はすべて化学薬品ですから、ビンに密封して0〜5℃くらいの低温で保存すれば5〜40年くらいは、その性質は変わりません。
けれども、塗料に混和して使うと、寿命は2〜3ヶ月と極端に短くなります。
専門のリフォーム業者でさえ、この知識がなく、さしたる工夫もしていないようです。
業者の中には「予算に応じたものを買って使っている」と、プロ意識が欠如した返事をする人さえいて、とても驚いた経験があります。
これでは、的確な防カビ対策どころの話ではありません。
そのときはきれいになったように見えても、すぐにカビが再発生するのは日に見えています。
防カビ剤の条件私の経験と研究から言えば、防カビ剤と殺菌剤を塗料に加えて用いるのが、室内、室外を問わず最も効果が大です。
防カビ剤として実用に通している薬剤は、以下のような条件を満たしているものです。
(1)10ppm以下の低い濃度で長期わたってカビの発育を抑制できること
(2)水に溶けにくいこと水によく溶ける薬剤では、塗装面が結露したり、水で洗ったり、水分がかかったりすると有効成分が短時間に失われ、効果がなくなります。
水に溶けにくければ、わずかずつ有効成分が溶出し続けるので、カビは発育できません。
(3)光の作用で塗装面が変色しないこととりわけ一般の住宅で使う薬剤は、変色すると外観を損ねるので、この条件が必要です。
(4)無臭で目や皮膚を刺激しないこと薬剤は常に塗装面から溶け出しているのが効果を持続する条件です。
臭いや刺激がある薬剤では、人に不快感や健康上の問題を与えます。
TBTO(トリブチルティンオキサイド)などの有機スズ化合物は非常に低濃度でカビの発育を阻止するのですが、
肉の腐ったような不快な悪臭があって、これを混ぜた塗料を使うと、塗装後にも室内に悪臭が漂うので嫌われました。
農業用以外に、衣類や皮革などに添加されるなど家庭向けの製品にも広く使われましたが、毒性が強いことから1980年に使用が禁止されました。
(5)毒性が低いこと毒性には、触れたり吸ったりするとすぐに症状が現われる急性毒性と、すぐにではなく、長期にわたって繰り返し触れたり吸ったりすると症状が現われる慢性毒性とがあります。
どちらについても、そのレベルが低くなくては使えません。
40年前まで、稲のイモチ病対策として有機水銀剤が大量に使われました。
しかし人体に対する安全性に大きな問題があることがわかり、使用中止になっていることはすでに述べたとおりです。
安全性への配慮はきわめて重要です。
(6)自然の使用環境下で化学的に安定しており、分解しないこと化学的に安定しているということは、それだけ効力が持続することを意味しています。
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