真菌症の研究
微生物の正体が明らかになったのは、今から130年ぐらい前のことです。
以来、医学の専門家を中心に、人と動物を苦しめる病原菌の解明が進み、今日の細菌学が大きく進展しました。
中でも、感染を起こす結核菌、ペスト菌、コレラ菌、ブドウ球菌、コレラ菌などは最も重要な細菌として、くわしく研究されました。
同じ微生物であるカビによって起こる病気の研究は非常に遅れています。
日本人の生活で五〇年くらい前から問題になったのは水虫ぐらいで、ほかはようやく皮膚に発生する障害や目の病気などが少しずつわかってきた段階です。
人の生命を脅かすカビは、現在100種類ぐらいあると言われていますが、くわしい研究はほとんどありません。
従来からカビが原因で起こる病気についての認識は低く、その専門医も非常に少ないので適切な治療ができずに病状が悪化する例も多いのです。
たとえば、一般の感染症の治療は、約50種の抗生物質を使う習慣になっています。
しかし、抗生物質はカビにはまったく無効であるばかりか、逆に真菌症を悪化させます。
なぜでしょうか。
自然界では細菌とカビはうまく調和を保って生活していて、むやみにどちらか一方だけが強力に増殖しないようになっています。
ところが、抗生物質を連用すると、健康を支えている大切な細菌が死滅したり弱ったりして、カビに対するにらみがきかなくなります。
このせいで、カビが勢いよく増殖して真菌症が急速に進行するのだと考えられます。
他の病気の治療で抗生物質を連用することも、同じような結果をもたらします。
抗生物質によって病気を起こしている細菌は弱ったり死滅したりしますが、同時に、必要な他の細菌まで弱らせてしまうので、カビが勢いよく発育して暴れまわり、人間をいためつける結果になるのです。
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