食品工場のカビの知識はまだまだ
食品工場は、どこでも保健所の指導で衛生対策をたてています。
しかし、指導する人は食中毒に関わる細菌についてはくわしく教えますが、カビについてのくわしい知識はまったくなく、カビをよく理解できていないので、かなりの間違いが見られます。
たとえば、細菌と同じように逆性石鹸で消毒するよう指導していますが、これではカビを退散できません。
それで困っている工場が多いのです。
二一世紀に入ってから、超一流の食品メーカーが、消費者の信頼を裏切るような行為をしていることが次々と発覚しています。
いまや有名な企業の製品だからといって安心できない時代です。
食品の安全性について不安な材料ばかりが世に溢れるありさまです。
ことはカビに関しても同じです。
抗生物質:第一号のへ二シリンはアオカビから訴生した病気や災害をもたらすカビの話をしてきましたが、病気や災害に「役立つカビ」のお話しをしておきましょう。
肺炎や敗血症など細菌性の病気に劇的な効果がある抗生物質。
その代表的な存在であるペニシリンがアオカビ(ペニシリウム)からつくられることは、よく知られています。
くわしく言うと、アオカビの中のペニシリウム・ノクーツムやペニシリウム・クリソゲヌナムなどのカビです。
アオカビが抗生物質をつくることは、偶然に発見されました。
一九二八年に、イギリスの細菌学者フレミングが、ロンドンのセントメリー病院の研究室でブドウ球菌の変異種について研究しているとき、
培養中のシャーレにとび込んだアオカビの作用で、そのコロニーの周辺のブドウ球菌が溶菌(細菌が溶けて死滅する現象)を起こしていることに気づいたのです。
野性のアオカビの作用でした。
アオカビ(ペニシリウム の作用なので、この物質をペニシリンと名づけました。
抗生物質の第二号が誕生したのです。
この功績により、フレミングは、一九四五年にノーベル賞を受賞しました。
日本でも、アオカビの研究をしていた学者が、一九四五年以前に同じような効果のある緑色の色素を発見しましたが、実用化には至っていません。
ペニシリンは、当初はアオカビ一ミリリットル中に1〜2単位が生産される程度でした。
菌を改良する技術が進歩し、さらに新たに自然界からも新種が分離され、総合的な研究の結果、100単位の生産量に向上し、実用化への道が開けたのです。
ペニシリンにもいくつかの種類がありますが、ペニシリンGというのが化学的に最も安定しており大変優れています。
ベンゾール核を持っていることから、ベンジール・ペニシリンと呼ばれます。
培養の終った液中には、ペニシリンX、K、0なども少しずつ存在します。
その後、30種ぐらいのペニシリンができるようになりました。
ペニシリンは、ブドウ球菌による化膿症、敗血症や肺炎などの主な感染症に非常に高い治療効果を示しました。
ただし、今は日本でペニシリンを製造していません。
ブルガリアなどで製造したものを輸入したほうが値段が安いためです。
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