良いカビ、悪いカビ-単純に決めつけることはできない!
新聞やテレビの報道で、誰が言い始めたのかはよくわかりませんが、有害な菌を悪玉菌、利用価値のある、人の味方になる菌を善玉菌と区別する言い方が流行しています。
「良いカビ、悪いカビ」というわけです。
また、一般の人の多くは、カビに対して不潔なイメージを持っていて、臭く、病気の原因になるからなるべく殺菌、消毒して消滅させてしまうのが生活の面でも重要だと感じています。
このような考えは、カビとつき合ううえで誤った方向をもたらします。
第一に、微生物の専門書には、善玉菌、悪玉菌という定義は存在しません。
実際、単純に善玉、悪玉と決めつけることは不可能です。
たとえば、アカカビ(フザリウム)は、強毒なアフラトキシンをつくるので悪玉と考えている人も多いようですが、その一方で、菌体内に栄養豊富なタンパク質を合成する種類もあって、家畜のエサの生産に活用できます。
このカビは増殖のスピードが速く、二四時間で20トンもの菌体生産が可能なこともあって、研究改良が進むと食料として利用する可能性もあります。
一口にアカカビといっても、非常に多様性があって、善玉、悪玉と割り切ることはむずかしいのです。
また、後でお話しする麦角中毒を起こすのはクラビセブスというカビがつくる麦角ですが、ここに含まれているエルゴメトリンなどの成分は、中毒の原因になる半面、人工的に生産されて薬用としても活用されています。
第二に、カビの仲間のうち、人の生活と健康を支えている種類は、全体の99%をも占めます。
とくに日本人の好みにあった清酒、みそ、しよう油、かつお節は、すべてコウジカビの働きによってできるものです。
コウジカビは、日本人の健康の基本となるほど大きな貢献をしているのです。
したがって、カビはわれわれの敵ではなく、健康で快適な暮らしをするうえで大切な友であるということを理解していただくために、このカテゴリーでは食べ物とカビの話からはじめることにしましょう。
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