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意味のないアルコール噴霧
先日、テレビで「住まいのなかにはびこるカビとダニの危険!その対処法」といった内容の娯楽番組を見ました。
司会者は五〇代の手慣れた男性、名前の知られている芸能人五〜六名と家庭の主婦一〇名くらいに対して、カビの研究者が指導、解説するという構成です。
この研究者は聞いたことのない人でしたが、カビの取扱い方や対応の方法を聞けば、どれくらい経験のある信頼できる人物かがわかります。
この研究者は、カビを採取すると称して、居間の家具と壁の間、食堂のテーブルの下、寝室のふとんの枕もとの三か所に寒天培地のシャーレを置き、五分間フタを外して空気中からカビを平板上に落下させる作業をしていました。
この空中落下のカビを採取する方法は、今から六〇年ぐらい昔には常用されていましたが、結果が不正確でカビの採取には不適当なため、今日では専門家はほとんど用いません。
今日はすぐれた性能のエアサンプラ(室内の空気を吸引、採取する装置)を使います。
また彼は、家具の裏と壁との空間、冷蔵庫のうしろ側のカビの処理については、消毒用アルコールを噴霧するとよいと指導しました。
しかし、多くのマンションの室内の壁紙の表面には、一〇〇円硬貨の面積当たり約一〇億ものカビの胞子が着生し、少しの風圧でも胞子が大量に周囲に飛散して環境を汚染します。
消毒用アルコールなら安心と思うかも知れませんが、カビに噴霧することは、食物の表面が真黒に見えるほど一面に蝿がたかっているところへ強力な殺虫剤を噴霧するのと同じようなものです。
噴霧による風圧で九〇%ぐらいの蝿は周囲に逃げてしまい、十分な殺虫効果は期待できません。
これでは、昔から使っていた蝿取りリボンをつるして、時間をかけて蝿を捕るほうが賢明なくらいです。
カビにアルコールを噴霧するのもまったく同じことです。
アルコールが噴霧された部分だけ一時的に殺菌されますが、アルコールは数分後には蒸発してしまうので殺菌力は持続しません。
すぐにまた菌が復活してしまいます。
殺菌剤を配合した粘着剤のロールで胞子を除去するほうがずっと有効と思います。
根本的に確実な対処法は、室内のカビの生える壁や床の部分に、毒性が低い薬剤を含む塗料を塗り、タンスなどの家具や、そのうしろの壁の部分にカビが発育しないようにすることです。
この技術については別項でくわしく述べます。
なお、伝統的に室内に壁紙を使う習慣のヨーロッパでは、壁紙は八〇%くらいは本物の紙で、残りの二〇%は高級な模様入り布地です。
プラスチック製の商品はどこの店でも販売していません。
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カテゴリー:身の回りのカビ

